「カクテル」を読んだ。
主演のトム・クルーズが出演したしたことを悔やむ程に酷い映画だった「カクテル」。でもその原作は世紀の傑作と言われる代物であることをあなたはご存知だろうか?
大昔、村上龍のエッセイで激賞されていたのを読んで以来、頭の片隅にずっとあり、書店・古書店に行く度になんとなく気にしていながらも見つけることができなかった小説。で、先日、ずっとあきらめていたのをYouTubeでビーチボーイズの「Kokomo」を見て思い出し、Amazonで探したらとあっさりとあった。そう、この「カクテル」は今、原書も翻訳も絶版という、増々レンジェンド度を高めている読み物なのだ。最低なもの(映画の方)が世に残り、最高なもの(小説の方)が消えていく・・・これも世の常なのかと憂いつつも、この休日はこれを読み耽っていた。圧倒された。
600ページ越えのピカレスク(悪漢)もの。そして、これ、作者ヘイウッド・グールドもさることながら、芝山幹郎氏の翻訳が凄い。原作のパワフルな言語遊戯のバーを軽々と(無論、軽々の筈はないですが)越えていき、読む者を泣かせ、笑わせ、酔わせ、欲情させ・・・・そのものズバリの俗語、猥語満載であるのにも関わらず作品全体に品格すらも備えさせると言う離れ業。酒をここまで美しく書いた本はない、とAmazonのカスタマーズレヴューにあるが、御意。村上龍はエッセイで「かのヘンリー・ミラーをしのぐ文体・・・」と言い、あとがきで芝山氏はこれを文学とは言わず「高級娯楽小説」と定義しているが、いずれにせよ確かにヤバイものをキメタ時のような特権的な読後感で・・・クラクラする。
ネット上で本書を検索すると出てくるが、如何せんどれも画像がないので写真をアップしておく。↑の最初が原書で次が翻訳。どうせなら原書のようなデザインにして欲しかった。ネットでこっそりと、またお近くの古書店などで見かけたら迷わずゲットされたし。もし所持していることが見つかったり、読むのが止められなくなったりしても・・・病院に送られたり、逮捕されることは・・・・・・ありません。
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