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三鷹再訪と달려라  메로스

 毎週、武蔵境で韓国の留学生から韓国語を習っている。初めの数回は直接武蔵境に行ったが、最近は少し早く出て三鷹まで行き、そこから歩いて行くようになった。三鷹は約30年前、東京に出てきてすぐに住んだ場所だ。変わった場所、変わらない場所、様々だが、路地の辻々で忘れていた出来事を突然思い出し、勝手に狼狽えたり、懐かしがったりしている。

 質屋の看板、果物屋、古い蕎麦屋・・・ありふれた風景の中に小さな物語が秘められていて、まるで今読んでいるチャトウィンの「ソング・ライン」の中のアボリジニの人々が、何の変哲もない石や木に祖先の声を聞きながら旅するような、そんな突飛な妄想を抱きながらの小旅行。昨日、昔良く行った蕎麦屋で当時と同じように時代劇を見ながら酒を飲んでいたら、そのままかつてのボロアパートに帰って、少し寝ようかな・・・のような気分になってしまい驚いた。
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 しかし、当時からあるのに全くそうした感傷を呼び起こさない場所が一つあって、それが禅林寺にある太宰治の墓所。若い頃、自分は太宰に強い反発があって努めて読まないようにしていたが、30を過ぎた頃からポツリポツリと読むようになって今に至る。なので以 前、目と鼻の先に住んでいながらここを訪れたのは昨日が初めてだった。桜桃忌(6月19日)まではまだ間があるが、墓はきれいに花で飾られ満開の桜が覆って いてきれいだった。対面には鴎外の墓もあった。

 その後、いつもの店に行って、太宰の墓に行ってきたと我が先生にデジカメの液晶で写真を見せると、彼女はノートに“달려라  메로스”と書いてくれた。走れ メロス。彼女は大学で日本文化を学んでいて、村上春樹は分からない、夏目漱石が好きで、走れ メロスはつまらなかった、と言った。韓国の小説家にどんな人がいるのかと聞くと、이웨스(イ・ウェス)という名前を教えてくれた。全く知らない。翻訳はあるだろうか?調べてみようと思う。

 写真は連雀通りを行って、武蔵境まで行く途中に見た桜。 花冷えの、でも佳い一日だった。

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