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野鳥観測

 

     空のミュージアムから
     落ちてくる笛の音(ね)
     あの羽根の色を模写したい 
     そのノートから
     同じ模様の鳥を
     飛び立たせたい

     毎朝 公園のベンチで
     警備員が落とすパン屑を食べ
     もう何度も輪廻した鳩

     電車が通り過ぎるたびに
     飛びのいてはまた
     街路樹に舞い戻るハクセキレイ    

     スマホで写した     
     名の知らぬ鳥たちが     
     送信ボタンの一押しで
     一斉に羽ばたく幻を見た

     未来の遺跡に
     緑が絡まり
     その木の葉を啄む
     虹色のオウムの夢も

     もう
     どんな想像力も
     あの鳥より高く飛ぶことはできないだろう

     地下鉄のエスカレーター
     水鳥の孤独を抱え
     旅人の手の中には
     宇宙船の搭乗券と
     古びた
     野鳥図鑑

     不相応な望遠レンズは
     星ではなく 
     鳥を見るため

     冬の夜空に
     鳥が流れていった

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