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カザフの歳三

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 重慶に留学中の娘のルームメイトIさんはカザフスタン人で大の土方歳三ファンだとか。何故?思いつくのはアニメ「薄桜鬼」だが、来週末、今度は息子が妹に会いに重慶に行くのでお土産にフィギアでも授けようと思ってスカイプで聞くと、欲しいのはリアル土方の写真だとのこと。

 なんでもIさんは子供の頃から独学で日本語と日本文化を勉強していて、土方もその過程で知りずっと好きだったのだと言う。日本人が少ない重慶に日本人が来たと知り、ルームメイトになるのを申し出てたら、相手が日野出身たと知り大喜びだったとか。娘も初めてやったアルバイトがお土産物屋で「歳三まんじゅう」を売ることだった、と自己紹介したという。

 そんなこともあって先日、普段行かない高幡不動前の土産物屋「池田屋」に行って色々とグッズを見たりした。こんなもので良いのか?と思い昨日スカイプ越しに土方の写真・絵葉書を見せたら歓声が上がっていた。なんか不思議な気持ち。

 スカイプの向こうの娘はかなり中国語が話せるようになっていて、近くに誰かいると通訳して会話に混ぜてくれ、それがとても楽しい。色々な国の人がいて飛び交う言葉は中国語の他に英語、韓国語、カザフ語等々だが、昨日、何故か僕が話す日本語を聞いてカザフ語に聞こえると言われ、幾つか単語を教えてもらい口にするとウケしていた。娘を重慶に一人で旅立たたせてしばらく不安に付きまとわれていたが、最近、そんな様子を見てやっと少し安心したところ。歳三、守ってくれたのか。

 一番上の写真は娘が送ってくれたもの。例の硝子の橋か。今週末、訪中する兄を何処に連れて行こうかと娘&友人たちがスカイプの中で色々と思案していた。羨ましい。ダバイ!(カザフ語でCome on!のような意味?)と言われたが、ぼくは来年。 

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ブルーにこんがらがって

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 双子なのでいわきに行くと時々弟と間違われる。なんとなくやり過ごすのだけど、先日、映画「君の名は。」を見た時、はたと思い立って慄然とした。それらの人たち、実は間違えたんじゃなくて本当に僕自身に何かを伝えようとしていた人たちなんじゃないかと?思って。

 そして映画を見終わってしばらくたって脳内に流れたのはジョン・レノンの「リメンバー」とディランの「ブルーにこんがらがって」。

 特に「ブルーにこんがらがって」だが、一頃ディランは大学で絵を学んでいて、同じ平面上にあらゆる時間を盛り込める絵画表現に感心し、歌でもこれができないか?と書いたのがこの曲とか。実際は不可能なのだが、その代わり物語は時系列に進まず、バラバラに分割して切り貼りされる。タランティーノの「パルプフィクション」やイニャリトゥの「バードマン」のようなあれ。それと「君の名は。」。そう言えばディランは自伝もこの手法で書いている。

 現在、スェーデンアカデミーが彼に連絡が取れなくて困っているらしいが、理由が“違う時空に行っていたから”だったら可笑しいな。

 「ブルーにこんがらがって」の“ブルー”って時間のことではないだろうか。あなたも、もし見知らぬ人に声をかけられたら、その人、未来のノーベル賞受賞者かもしれないですよ。

 写真は「ブルーにこんがらがって」が収録されている「血の轍(Blood on the tracks) 1975」の裏ジャケット。最初に聞く人には自分ならこれを勧める。

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Skypeを待つあいだ


Skypeを待つあいだ
火山が噴火した
遠い国にいる君も
この国にいる僕も
その音を聞かなかった


Skypeを待つあいだ
 ウィリアム・ブレイクを読んだ
正確には
ブレイクについて書かれた
本を読んだ
「想像は吾が世界である」と
 神秘的な詩人は言った


Skypeを待つあいだ
時差について考えた
ディスプレイに映った君は
ほんとうに君だろうか?
あの光を放つ星さえ
 遥か昔に
 消滅している
 かもしれないのに


Skypeを待つあいだ
「イマジン」を聞いた
通信技術の進歩で
世界が小さくなり
陸から溢れた人たちが
ボートを漕いで
海を渡り始めた
      

Skypeを待つあいだ
深呼吸し コーヒーを飲んだ
ヨガのテキストを見て瞑想した
世界は
僕の想像ではなかった


Skypeを待つあいだ
テレビの中で
少女が雨に打たれていた
爆弾が爆発し
 兵士が銃をかまえていた


Skypeを待つあいだ
棺が運ばれ
 何処かでまた子供が生まれた


Skypeを待つあいだ
何語で語り掛けるべきか
言葉を探していた    


Skypeを待つあいだ
世界は
 Skypeを待つあいだ、だった

Answer.

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