『牯嶺街少年殺人事件』を見た。
今週はこの映画を見逃さない事だけを心掛けて生きていた。3時間56分、トイレに立ちたくないので(途中休憩無しの上映なので)、朝から水分と食事を控え気合を入れて出かけたが、上映後、映画館から出た時は、映画に打ちのめされたのか腹が減り過ぎたののか良く分からないような状態でフラフラ。“見た”というより、60年代の台湾の明るい光と暗闇、そしてその中を蠢く不良少年たちの抗争と、映画史に残ると言われるファムファタールとの純愛を“体験”したという感じ。
明後日、二十日にはこの映画を愛してやまない坂本龍一氏個人所有のスピーカーによる極音上映というのがあって、本当はそれに行きたかったがチケットは早々とソールドアウト。こんなに静かな映画なのに極音上映?と思いきやこの映画は音響の臨場感が凄い。それだときっと"体験"の深度がさらに増すのだろうと納得。
パンフレットに故エドワード・ヤン監督の生前の文章があるがそれが感動的だ。以下、一部抜粋。
「歴史の授業で教えられることに私が不信をぬぐえないのは、自分が個人的に体験したことが歴史には記録されていないからだ。1950年代というかなり近い過去ですらそうなのだ。<中略>幸いなことに、過去の偉大な精神が、芸術、建築、音楽、文学等々の形で残してくれた鍵のおかげで、将来の世代はどうにか真実を再構成し、人類への信頼を取り戻すことが出来る。映画もまた、将来の世代のために、同じ目的で奉仕されなければならない。」 エドワード・ヤン 1991年6月
権利関係のもつれで最初の上映以後、DVD化もされず、スクリーンでの上映も叶わなかった伝説の傑作だが、上記の監督の文章によれば制作時、スタッフの60%。キャストの75%がこの映画でデヴューを飾る言わば素人だったとか。その無垢と熱狂。出来れば若い人に見て欲しい、と思った。今、人生の時間の中の3時間56分に『牯嶺街(ク―リンチェ)少年殺人事件』の焼印がある。まだ、じゅーっと音がしてモワ~ンと煙が上がってる状態。ボーイ・ソプラノのプレスリーが耳を離れない。切ない。
http://www.bitters.co.jp/abrightersummerday/
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