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道を歩いて来たつもりはない
ただ歩いている足元をいつも見つめていただけ
いつも見る足跡は今付けたただ一つ
道なき道を行ったとか
その足跡が道になったとか
そんなカッコイイ話じゃない
現に振り返れば初めの一歩は風雨に晒され
今は消えていて
微かに昨日くらいからの足跡が
消えそうに残っているだけ

道を歩いて来たつもりはない
ただ歩いている足元をいつも見つめていただけ
この一歩の次はどちらへ
いつも迷っているのは次の一歩
ただ誰かが敷いた道を行くにせよ
歩くのは自分自身 この足 この足元の
線になることを拒否した一つの点 
だが その点が
いつしか地面から剥がれて
蝶のようにフワフワと舞い始めた

道を歩いて来たつもりはない
ただ歩いている足元をいつも見つめていただけ
いつしか足は動いているのに
地上にもう足跡は残らない
自転車のペダルを漕ぐ感覚で
一足ごとにぐんぐん空に登っていく
生まれた町の 国の 星の
その表面にある 文明のひびのような
色々な道が
眼下に見えているだけ

川沿いの道 車が渋滞する道 
砂漠を貫く道 けものみち
掌に刻まれた
生命線

道を歩いて来たつもりはない
ただドスンと生まれ落ちたベッドの上から
いつか来た空への道を
いつも眩しく見上げているだけ

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