Good bye 、冷蔵庫くん。
家の近くに新しいスーパーが出来て、開店記念セールでハーゲンダッツのアイスクリームが安かった。先日それを買ってきて風呂上りに楽しみに食べようとしたら、あらら、溶けてブヨブヨになっている。なんとそのタイミングで冷蔵庫が壊れたのだった。以前も似たような事があり、様子を見ていたら症状が改善されたので騙しだまし使っていたが、今回はついに復帰しなかった。それで昨夜、新しいのを買いに行って、今日、配達と古い方の引き取りがやってきた。驚いたのは引き取りに先立ち妻が最後の掃除をしながら見ると、壊れた冷蔵庫の製造年月日は1984年。33年前。
自分はまだ上京する前で、郷里のいわきにいた。ジョージ・ウォーエルが小説に書いた1984。スティーブ・ジョブスがIBMとの戦いにMacintoshで挑み、伝説のプレゼンをした翌年の1984。日本ではチェッカーズの『涙のリクエスト』がヒットしていた1984、そしてブルース・スプリングスティーンのあの『ボーン・イン・ザ・USA』がリリースされたのが1984だ。
今PCに「冷蔵庫の寿命」と入れて検索すると、だいたい10~15年、と出てくるが、この冷蔵庫はその倍近く生きて?仕事したことになる。娘が生まれたばかりの時、貧しい若い夫婦に近所の電気屋さんが見るに見かねて中古品をメンテナンスして安く売ってくれた物で、その時ですでに13年選手。以後、20年、我が家にあった。人間で言えば何歳だろう?と、愚かにも電化製品を見て考えてしまった。
妻曰く完全に使えないのは冷凍庫で、他の部分はまだ少しは冷えるのだとの事。妻は「直せばまだ使えるかもしれない」と、引き取り業者が廃棄ではなくリサイクル、という点に最後まで望みを託していたが、ぼくは知っていた。フロン使用なのでそれはもう無いということを。だが、もしも“昭和の暮らし”のような展示がある博物館にでも置いてもらえたら・・・と、ぼくも最後に儚く祈った。そして長年一緒に暮らした大型の電化製品って、まるでロボットのようだと思った。今日の午後はまるで『ロボコン』の最終回みたいだった。
で、最後に、スプリングスティーンの「ボビー・ジーン」の歌詞になぞらえて、 I miss you baby, Good luck ,Good bye 冷蔵庫くん。長い間、ありがとう。
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