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繋ぐ

―下村誠13回忌ライブ 
BOUND FOR GLORY 2019を見て 下村さんにー

もし歌に手足が生えていたら
君みたいじゃなかったろうか、と思う
雑踏の中を君が歩く時
その帽子が
ゆれながら行くさまは
音符がふわふわと
飛んでいるのを見るようで
まるで君自身が通りに流れる
歌みたいだと思ったよ

いつも誰かへの贈り物を
隠し持っていた君
あげるものが何もない時は
店のテーブルのナプキンに
詩を書いて
あげたりしてた
別にイケメンでもないのに
そんな行為が
気障にならなかったのは
君自身が歌だったからだと
今なら分かる
君は人のフリした歌だったんだ

ぼくらの分からない
「歌の国」の掟には
歌が人でいられる時間が
きっと決められていて
その時が来たからなのか
それとも
人としての自由を
使い果たしたからなのか
君はあっけなく消えた

預かっといて、と忘れたままの
帽子とギターと
ハーモニカホルダー
でもいつしかそれも
失くしてしまって13年
今日、ようやく
ぼくは君の正体に気がついた
君は人のフリした歌だったんだ
歌は口から口へと人を繋ぐ

そうか 
君が人の形をしていた時に
やってたことってそれだったんだね。

 

                        2019.11.17

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