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古代的な時間

 朝、トーストを2枚焼いて娘が置いて行ったマーマレードのジャムを付けて食べる。それと低脂肪乳のコーヒー。

 現場は皆で古代の住居址の掘削。今回、この時代の住居址にしてはその規模が大きい。廃絶されたカマド(西カマド)とその後に作られたカマド(北カマド)と、二つあって、今日は西カマドの断面の撮影→図面作成→完掘の作業及び住居跡本体の掘削をやった。床面出し。

 上層から出土した遺物の破片は一括で上げてしまったが(潮干狩りのように出た先からぽいぽいと取り上げていくこと)、床直から完形に近い坏が出土していてそれは残す。

 現場用語で上層から出たものを流れ込み(竪穴式住居が使われなくなりそれが埋没して行く時に周囲から流れ込んだもの)、床から出たものを床直(ゆかちょく)というが、床直のものは実際にその住居にいた人たちが使用していた時のものと思われ、その遺物を調べるとその住居址の使用年代が分かる。

 出土しているものは須恵器の坏。土師器に比べ焼成温度が高い還元炎で焼かれた灰色の土器。口径と底部径の比率や、轆轤(ろくろ)成形した後にカマドに入れる際の、粘土からの切り離しの痕跡、成形具合が残る底部や口縁の観察等で細かい年代が分かる。古代、と一口に行っても長いが今回は9~10世紀頃か。

 何処の現場でも土層断面を見ると地山(人間の手が加えられていない"地"の土)はもちろん、旧石器、縄文、古代、中世、近世くらいまでの土層の土はきれいだが、近代~現代は汚い。プラスチック、ビニール、空き缶、ビンetc。古代的な時間の痕跡と現代的な時間の痕跡。特に現代の痕跡は暴力的だ。いずれ現代のゴミも遠い未来には考古学的な遺物になるのだが。

 普段、誰にも顧みられない仕事だが、たまに興味深そうに声をかけてくる人もいる。で、この30年いつも聞かれるのは「小判でるの?」ということば。現代的な時間。

 昨日と同様に異常な暑さで、1時間ごとに休憩を挟む。今日も水、麦茶を2リットル飲んだが全部汗で出た。

 夜はソーメン。氷水に多めの麺を入れ、ネギと生姜だけで食べた。

 昔、映画『ホピの予言』を見た頃、ネイティブアメリカンと核開発についてのもう一つの映画『ブロークンレインボー』というドキュメンタリーも見たが、その中にいつまでも忘れられないような美しい挿入歌があって、後年、それがローラ・ニーロの曲と知った。今夜は寝しなにそれを聞く。

部屋に古代的な時間が流れる。23時就寝。

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