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リストバンド

 朝、昨夜変な寝方をしたのでちゃんと眠れているんだかいないんだか。朝食はごはん、目玉焼き、細かく刻んだネギをたっぷり入れた納豆、それと豆腐とわかめの味噌汁。

 先日手に入れたポール・サイモンの『ストレンジャー・トゥ・ストレンジャー』を相変わらず聞いている。この音楽には中毒性がある。2016年の作品。もっと早く聞けば良かった。五郎さんも本に書いていたが聞いていて全く飽きない。しかし、自分が持っているのは輸入盤なのでどうしても歌詞を知りたいと思った。こういう時、耳で聞いて直接分かる英語圏に生まれていればと思う。だからと言ってそのためだけに日本盤をもう一度買い直すのはどうも。。と思う。

 色々考えて、そうだ、図書館で借りよう、という結論にたどり着く。視聴覚資料が豊富な図書館を調べてそこで借り、解説や歌詞対訳だけコピーしてすぐ返せばよいのだ。この辺りでは府中の中央図書館に資料が豊富でネットで検索したらやはりあった。

 このような些細な用事を一日仕事にしたくないので早速にでかけ早々に帰ってこようと思って図書館の開館時間に合わせて出かける。空は晴れていて散歩がてら気持ちいい。朝のうちまだ寒くてダウンを着て出かけたが、途中、暑くて脱ぐだろうなと思った。案の定そうなった。

 で、予定通り、借り出して図書館の目の前のコンビニでコピーしてすぐ返す。帰宅するとまだ11時前だった。息子がやっと起きてきたところのよう。

 昼食はパスタ。インスタントのパスタソースをかけて食べる。たらこ味。と言うか冷蔵庫に食材らしきものがそれしかない。なので食後、買い出しに出かける。主夫は中々大変なのだよ。

 買い出しが終り帰ると入れ違いで息子が友人に会いに出かけるところだった。夕食はいらないとか。それで午後の遅い時間にようやくコピーした解説&歌詞カードを見ながらまたゆっくり『ストレンジャー・トゥ・ストレンジャー』を聞いた。

 解説を読んで初めて知ったのがハリー・パーチという人。1930年代の大恐慌時代にホーボーとして放浪や収容所暮らしをし、それでも道端の新聞売りの声や、人の会話の抑揚、町の音からそれらを既成の12音階で表現するのは無理だと1オクターブ43音階という独自の音楽理論を編み出した人なのだとか。そうしてその理論に合わせた楽器を次々に発明していったのだという。

 このアルバムにはパーチ―が作った楽器が実際に使われ、創造の泉が全く枯れてしまったと思っていたポール・サイモンは既成概念にとらわれないハリーから刺激を受けてこのアルバムを完成させたという。どおりで耳慣れない楽器の音や生活音、車のクラクションなどが入っていると思った。

 中に『リストバンド』という面白い曲がある。コンサートのリハの途中、ちょっと裏口からたばこでも吸おうかと外に出たら戸が閉まってロックがかかってしまい、そうすると会場の正面に回って入るしかないのだが、そうしようとしたらスタッフを証明するリストバンドが無いから入れない、と言われるいう歌。ユーモラスな歌だが、それだけで終わらないのがさすがポールサイモン。この歌の最終ヴァースはこう。

 暴動はゆっくり始まった
 まずは家なき者 貧しき者
 次第に中心部まで広がった
 永久にリストバンドを持てない街
 クールなブランド品に手が出ない若者
 彼らの怒りは一触即発
 一生リストバンドは手に入れられない
 リストバンドがないんじゃ
 このドアは通れない
 このドアは通れない

            丸山京子訳

 
 パーチが1930年代の"あの時"をもろに生きた人ということで、自分は今読んでいる『怒りの葡萄』(やっと前巻が終るところ)の物語とこの歌が重なった。

 YouTubeを見たらこの歌のライブ動画があった。バックはパンチブラザース他。



 夕食豚肉、キャベツ、もやし 卵で炒め物。味噌汁の具ももやし。食後、大河ドラマ『光る君へ』と『さよならマエストロ』を見た。

 23時半、就寝。

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