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咳はどうでも

 朝、天気快晴。ゴールデンウィーク後半4連休の初日。

 体調の悪さは完治せず。と言っても咳が出だすと止まらないというだけ。"だけ"と書いたが、これだとライブに行くにも映画に行くにも周りの迷惑を考えると怯んでしまう。なので今日もほぼ家にいた。ただ連休明けに現場が始まるので体が鈍りすぎるのも良くないし、動きすぎるのも良くないと言った感じ。家事、買い物、と、それがてらにドライブというほぼいつもの休日。

 ただこの連休中に読もうと思って図書館から借りてきた本もある。宮内勝典氏の『永遠の道は曲がりくねる』。『僕は始祖鳥になりたい』『金色の虎』と、氏のライフワークのような傑作長編三部作の最後。ずっと前に出ていたのを知っていたがなんだか読めずにいた。

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 宮内氏とは昔、イラク戦争反対のデモを一緒に歩いたことがある。当時、氏は早稲田大学で講師をしていてそのゼミの学生『海亀塾』の学生さんたちと数名の小さなデモ行進だった。当時、氏は『金色の虎』を書いている途中か、書き上げたばかりの頃。

 自分の実家は福島県いわき市のスパリゾートハワイアンの前の道路を少し過ぎたところにあるが、さらにその道を突き進んだ遠野という町の旅館に氏はこもりこの作品を執筆している(た)のをエッセイで読んで知っていたので、歩きながらそのことを話た。奥様も一緒にいて、何でもその旅館は奥様の学生時代の友人の実家なのだと言っていたっけ。

 エッセイ『裸の王様アメリカ』に、その遠野での日々について少し記述がある。執筆していると近所で採れたものだと桃の差し入れを貰う。食べると大げさではなく氏がそれまでにたべた中でも最高の美味さで、興味を持ってその桃の木がある場所まで行ってみるとそこは廃寺寸前の古い寺で寺の裏は一面の柿の木。桃の木は拍子抜けするほどありきたりなものが一本あるだけだったという。寺に住職はいなく、その息子が住職を継がずにただ手入れだけしているのだとあった。何処のことだろうか?今度、帰省した際に探してみたい。

 大昔、パソコンというものが巷に出てきた時、まだとんでもなく高価だったのを無理をしてでも手に入れたのは佐野元春の『Moto web server』と宮内氏の『海亀日誌』を読みたかったから。『海亀日誌』は書籍にもなっているが、何時の頃からかネット上からそっくり消えてしまった。ネット上に今ある言論空間にほとほと嫌気がさしてしまったのだろうと想像する。

 書籍『海亀日誌』を久しぶりに手に取ると、中に若い人に氏が勧めたい本が数冊紹介されている。シュリーマンの『古代への情熱』、ヘッセの『シッタルーダ』。。。などなど。それは生意気盛りの頃の娘に自分が勧めた本ばかりで、氏の影響丸被りだったのを知って苦笑す。

 夕方から夜、いつもの副菜数品をひたすら作り続けた。

 毎年ゴールデンウィークの期間に、丸の内で『ラ・フォルジュルネ』というクラシック音楽の祭典があるが、去年のテーマはベートーヴェンだった。今年は『オリジン』ということで一人の作家にこだわらず、音楽の起源を探り、そこを追求した作家・作品を取り上げようと言う趣旨らしい。で、明日のプログラムを見ていたら、"天才の躍動"と銘打たれて坂本龍一の"地中海のテーマ"が演奏されるのを見つけた。バルセロナオリンピックの時、彼がタクトを振ったあの曲だ。自分はちゃんと聞いたことが無くてYouTubeで今日初めて通してきいて驚愕す。

 El Mar Mediterrani Ryuichi Sakamoto dirigeix la Nova Filharmònica del Japó (youtube.com)

 『非戦』をともに立ち上げた宮内さんのゼミには坂本さんも来ていて、上述のエッセイにその時のことも書いてある。『非戦』や地雷除去活動は売名行為ではないかと坂本氏に言う学生に、"君らは信頼に足る大人が目の前にいるというのにそれも見抜けないのか"と宮内氏が激怒するシーン。

 明日の『ラ・フォルジュルネ』に行こうと決める。咳はどうでも。23時就寝。

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