奈良に寄り道

　朝(と言うか未明)、2時に東京の日野を息子の運転で出発。行く先は和歌山県の高野山。台風21号は九州付近のどこかで温帯低気圧になってしまうと言うが、それでもその影響で全国的に3連休初日のこの土曜日は雨、大雨の予報。

　果たしてどうなるかと恐々として出掛けたが、走り始めて30分もしないうちに東名高速の厚木入口に着いたのを見て、これはもしかしたら人の出が少なくてかえってラッキーなのではないか？と思い始めた。そして案の定、すぐに長い静岡を抜けて愛知、名古屋へ。途中、刈谷サービスエリア・ハイウェイオアシスに寄ったが、食事処は開店が7時からで、自分たちが着いたのは6時半。天気が心配で朝食抜きで先へ急ぐことにした。ここで息子と運転を交代する。雨はまだ小雨で、だが予報だと波状攻撃的に一日のどこかでもの凄い降りがあるらしい。何処で遭遇するだろうかとそればかり考えた。

　車での旅は我が人生を振り返るにそれは東北が中心で、関西方面にこうして来るのは初めて。なので通り過ぎる風景、地名にいちいち感じ入る。

　道路は相変わらず空いていて、"新東名"が"伊勢湾岸道"に変わる頃、木曽川が海に流れ込む景色に感動する。どんよりとした曇り空、少し小雨降る霧がかった川がゆっくりと海に合流するところ。空も海も同じ淡いグレーなので遠くの船がそこに水平線があるのを教えているようだった。しばしその直線と並走す。晴れていたらどんなだろうか。でも今日のこの天気で良かったと思う。

　走っている途中からこのままだと凄く早い時間に和歌山に着いてしまうことに気付き息子と思案する。① 天気、道路に不安があるのでできるだけ早くホテルに入って、あとはその周辺で過ごす。② 悪天候でもとにかく真っすぐ高野山に行って雨の高野山を参拝し、快晴の明日、もう一度行く。③　別のところを観光して夜ホテル入りするくらいに考える。走るうちに大坂、京都、奈良と、観光するにはネタが事欠かない地名が近づいてきて、結局、奈良に寄ることにする。とりあえず思いついたのはベタだが大仏。行くのは高校の修学旅行以来だから40年ぶり。

　奈良公園に着いたのはAM9時半頃。いつもの土曜日ならまだ"チコちゃん"の再放送でも見ている時刻。なんだかキツネにつままれたような気持ち。途中、駐車場を探している時に突然、道路に飛び出してきた鹿を轢きそうになる。自転車の罰則が厳しくなると言う昨今。お偉いさん、鹿にも罰則を(笑)。

　
　外国人観光客が多いのは予想していたこと。実際、多かったが、しかし、悪天候の予報が影響しているのかそれ程でもなかった。案外とゆっくり、じっくり大仏その他を見学。そして高野山で納経しようと持ってきた書き溜めた経(般若心経)の一部を東大寺にも納経し御朱印をもらった。　

東大寺博物館を見た後は食事。通り沿いの店で柿の葉寿司を食べた。美味しかった。

　
　ちょっと大仏でも、と寄り道した奈良だが、当たり前だが着てしまうとそのあまりの充実ぶりに欲が出て、息子と話し、法隆寺も。。。ということになる。東大寺からは車で3～40分程。途中、"淡路島バーガー"なる店を見つけるも先を急ぐ。そして、当初からの懸念がここで現実になってしまう。着いて駐車場から法隆寺に歩いている途中から雨が強くなり、山門に着いた頃には豪雨に。人はまばら。雨なのと人が多いのとはどちらが良いのか。山門でしばし雨宿り。なんだか映画の『羅生門』のようだった。

　
　大雨の法隆寺を参拝。ここでも納経し御朱印を貰う。作務衣を着た寺男達はバケツをひっくり返したような雨で窪地に溜まった雨が溢れて来たり、雨どいからの雨が鉄砲水にのようになったりしているのを処理しようと大あらわ。

　スマホの雨雲レーダーを見ると雨は一旦、小康状態になり、その後、さらに降ってくるとか。和歌山の予報を見るとそちらはピークが過ぎ、着くころにはほぼ小雨の予報。なので少し(少し！)降りが弱くなったのを見計らって法隆寺を後にする。天気が良い時にゆっくり見たかったと思う反面、貴重な体験だったとも思う。大雨の法隆寺。

　ホテルは高野町の隣の紀の川市のルートイン。着いたのは16時半頃で、18時チェックインの予定を早めてもらった。息子共々、びしょ濡れで、早速、着替えてしばし休憩。18時頃、ホテルのレストランで食事、と言うか飲み。紀の川の地酒"雑賀(さいか)"を頂く。甘口で美味也。

　その後、入浴し、部屋に帰るとテレビで映画『ロッキー』をやっていて、ラストシーンだけ見た。明日はいよいよ本来の目的地である高野山。今朝は早かったので、早めに寝る。22時頃。