日本、WBC優勝
これは自論ではなく以前ラジオで誰かが言っていた話。
美しい椅子(椅子じゃなかったかもしれないが多分そんな話だった)を見て、いつか自分でもそんな椅子を作ってみたいと夢見た少年がいた。だけど職人になって生きていくためには何しろ沢山作らなければならないので多くの仲間と分業にし、自分は椅子の中の足の1本だけを作り続けるようにした。そうして椅子は沢山作る事が可能になって、売れて、椅子づくりに携わり生きて行ける人生に、大人になった少年はまあまあ満足し、これで良かったんだと自分に言い聞かせた。自分の夢は大方のところ叶ったのだと。だがそんなある日、仕事の帰り道、彼はあの時の椅子よりもさらに美しい椅子を作る異国の少年に出会う。しかもその全部を独力で。。。。
これは何の例えかと言うと、アメリカ人が大谷翔平の何に驚いたかという話。アメリカは基本アメリカンドリームを夢みた移民の国だ。だがいざやって来ると人々は工場や農場や肉屋やなどなどである"部分"だけを担わされてもくもくと生きることに余儀なくされる。そんな時、ラジオから野球。野球にはポジションがあり、それぞれに役割がある。それで皆、自分がやらされていることはつまりはポジションなのだと理解し、そのように自分も会社や職場、もっと言うと国やアメリカンドリームに貢献しているのだと言い聞かせる。だけどある日、気付く。あれ、そもそも自分が憧れていたことって、こんなことだったっけ?と。
大谷は好きになった物事を好きになった時のままトータルに楽しんで生きて良いなのだ、とすることの象徴だ。まさに、My life is my massage。もちろん効率は悪いし、リスクもある。でも全部をやる、どっちもやってもいいっていうことは、効率重視が常識の今の世界にあって多くの人に勇気を与えたんじゃないかと思う。今日泥だらけのユニホームでリリーフのマウンドに立つ大谷を信じ難い思いで見た自分は"大人"でマウンドの大谷は"少年"のままだった。それでトラウトから三振。漫画、と言うより神話。パウロ・コエーリョの小説みたいだった。
大谷の事ばかり書いてしまったが、WBC、今大会は本当に良い大会だった。メキシコ、アメリカ両監督の試合後のインタヴューも素晴らしかった。これも誰が言ったか忘れたが"ベーブルースと言えども、ベースボールより偉大ではない"という言葉もある。"大谷と言えども、ベースボールより偉大ではない"って感じか。先日、6年前にチャックベリーが死んだ時、フェイスブックに書いた記事が"思い出"で出て来て、そこに自分は"アメリカが作ったもので最悪なものが原爆で、最高のものはロックンロール"と書いていた。だが、もとい、もう一つあった。野球。ベースボール。
今日は午前中は勝敗が気になって、午後は感動で仕事にならなかった。選手の皆さん、ごくろうさん。感動をありがとさん。
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